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2007年実績について

桜の季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

さて、今年度第1弾のコアラ倶楽部通信は当外来の実績をご報告いたします。
H19年(1月~12月)に当外来で妊娠された方は350名いらっしゃいました。

H19年に当外来でどのような治療を受けて妊娠されたかをまとめたものです。
人工授精19.1%とART(体外受精・顕微授精・凍結胚移植)33.1%で全体の52.5%を占め昨年より増えています。
最近の傾向として、女性の晩婚化により、35歳以上の女性の患者さんが増加しています。
それによって、年々ARTでの妊娠の割合が高くなっているように思われます。
そして、35歳以上の方の妊娠転機を調べてみますと、半数以上(50.7%)の方がARTによる妊娠となっていました。

治療はなるべく自然に近いものから始まって、最終的にはARTへと進みます。
よって、年齢が進むにつれARTでなければ妊娠ができにくくなるといえるのではないかと考えられます。
それは、加齢に伴う卵子の質の低下に加え、最近のSTD(性行為感染症)の増加や難治性不妊の一因となる子宮内膜症の増加、 夫の加齢による精子数・運動率の低下などが関与していると考えられます。

H19年のARTにおける年齢別の妊娠率を示したグラフです。
40歳以上で急激に妊娠率が低下します。
35~39歳では、34歳までに比べあまり妊娠率の低下はないようにみえますが、実際は37~40歳の間に急激に妊娠率は低下します。
この妊娠率の低下はARTでの結果ですが、不妊治療全体にもいえることなのです。
“加齢による卵子の質の低下”これは現在の不妊治療最大の問題です。
少しでも卵子が若いうちに妊娠する努力をすることが重要です。

当院におけるARTを受けた年齢別人数を表したものです。
最近、若い夫婦の来院が少なくなっているという印象をもちますが、これも晩婚化がすすんでいるためでしょうか。
当院においても35歳以上でARTを受けられた方は、全体の80%以上を占めるようになりました。
また、40代の方が40%近くを占めています。

H19年のARTの治療による妊娠率と全国平均を示したグラフです。
当院では3年前より原則として胚移植数を1個としており(今年日本産科婦人科学会は原則として 1個とするよう勧告を出しました。)一般的に移植数を減らしますと多数移植している他施設よりも妊娠率は若干低下する傾向にあります。
しかしながら、当院では、各項目で全国平均を上回り、多胎率は30%(3年前)から6%(H19年)へ低下させることができました。
また、残った受精卵の凍結胚盤胞移植の成績は全国平均の32.7%を大きく上回っています。

過去8年間のARTにおける周期数(治療回数)を示したグラフです。年々増加しているのがわかります。
これは、一般にARTが認知されるようになった事によるものだと思われます。
熊本市・県では年間2回の補助金助成制度もありますので、ぜひ利用してみては如何でしょうか。

最後になりますが、これからも一人一人の患者様にベストを尽くして頑張っていきたいと思っております。
また、今年度は顕微授精に新たな技術をとり入れる予定です。
ご期待下さい!!

トピックス H19年に当院の治療で妊娠された方

最高年齢妊娠:45歳 (凍結胚移植)
最長不妊期間:13年1ヶ月(体外受精・41歳)
胚移植最多回数:5回
人工授精最多回数:8回
最少精子濃度:400万/ml
最低運動率:7%