リンパ球免疫療法について
少しずつ朝晩の涼しさが本格的になり、ところどころ紅色に染まる”もみじ”も見られるようになりました。
過ごしやすい時期でもありますが、体調を壊しやすい時期でもあります。皆様、体調管理は万全ですか?
さて、今回のテーマは『リンパ球免疫療法』についてです。あまり聞き慣れない言葉だと思います。
★ 『リンパ球免疫療法』とは、習慣性流産に対する治療法です。検査で何も異常がなく原因不明な場合、この治療をお勧めしています。
残念ながら流産する場合もありますが、70~80%の妊娠を継続させている治療の1つです。
★ 『習慣性流産』とは、一般に3回以上流産した場合をいいます。
習慣性流産の原因
1.染色体異常 2~5%
2.子宮異常 10~15%
3.内分泌異常 5~15%
4.自己免疫異常 10~15%
5.原因不明 50%
検査
流産を繰り返す・不妊期間が長い方などに対して、習慣性流産の検査を行います
採血でわかるもの
抗リン脂質抗体症候群の検査
自己抗体の検査(抗核抗体)
凝固一線溶系検査
染色体の検査
トキソプラズマ感染症の有無
甲状腺機能の検査
治療の効果
≪正常妊娠では≫
異物である胎児に対して攻撃拒否反応は起きず、妊娠を継続。
これは胎児を異物としてみなさず拒否を防御してくれる抗体『遮断抗体』が作られているためと言われています。
≪流産をおこす場合≫
『遮断抗体』の産生が悪いため、防御することができず、拒否反応を受けてしまい、胎児が異物とみなされ、流産してしまいます。
『遮断抗体』はリンパ球によって誘導されており、ご主人の血液を分離してリンパ球を奥様に皮下注射すれば『遮断抗体』ができるとされています。
治療の流れ
1.ご主人感染症の血液検査
2.ご主人から採血し、リンパ球分離
3.奥様へリンパ球を皮下注射(これを妊娠前に4回、後に2回施行する)
症 例
実際に治療を受けたA子さんの場合
H5年 流産
H7年 流産(2回)
H8年 流産
H9年4月~6月:リンパ球免疫療法4回
8月:妊 娠
8月~9月:リンパ球免疫療法2回
H10年 無事男の子を出産
さらに、2年後も出産されました