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2021年実績について

今回の通信は、最新の当院外来の実績をご報告いたします。
2021年(1月~12月)に当外来で妊娠された方は377名いらっしゃいました。

図1

 図1は2021年に当外来でどのような治療を受けて妊娠されたのかをまとめたものです。
約30%の方が排卵誘発やタイミング法で妊娠されています。AIH(人工授精)の妊娠は23.7%、
ART(体外受精、顕微授精、融解胚移植)による妊娠は51.6%となっています。
 このグラフを見てみると、妊娠数は全妊娠数のART 51.6%>AIH 23.7%>タイミング 22.3%の順で
妊娠数が少なくなっています。前年までと比べるとARTで妊娠される方が多くなっており、本年は
全妊娠数の半数を超える人数となっています。
 また、ARTの妊娠率は子宮鏡や腹腔鏡手術(筋腫核出術など)により、着床環境を整えることで
妊娠に至っている方も増えています。

AIH(人工授精について)

 AIH(人工授精)は排卵日に、ご主人の精液から良好運動精子を取り出し、子宮の中に注入する方法です。比較的自然に近い妊娠であり、副作用の少ない治療です。原因不明の方、性交障害や軽度精子異常がある方が適応となります。
 妊娠率は下の図1のように、40歳を過ぎると39歳までの方に比べ約5分の1に低下しています。また、図2を見てみると人工授精は1~2回目の妊娠が多く、5回目以降は妊娠がないわけではありませんが、少なくなります。5回以上AIHをして妊娠された方は、精子側に異常がある方が多いようです。一般的に4~5回AIHを行っても妊娠しない場合、精子に問題がなければ、それ以上行っても妊娠する確率はかなり低くなるので次のステップアップが必要となります。

図1

図2

ART(体外受精、顕微授精、融解胚移植)について

 下の図を見てみると、どの年齢層においても当院の妊娠率は全国平均より高い妊娠率です。
特に40歳以上の当院の妊娠率は全国平均の2倍高い値となっています。
20代の妊娠率78.6%、30~34歳の妊娠率61.4%、35~39歳の妊娠率51.9%とても高い%ですが、
40歳以上になると29.1%と著明に低くなっています。
前年153周期だった40歳以上の移植周期数が今年は189周期と増加傾向にあり、40歳からのARTが増加しています。また40歳以上の妊娠率は前年の35.1%から29.1%へと低下しており、年齢による卵の質の低下傾向が進行していると考えられます。したがって、40歳前にARTへステップアップされることをお勧めします。