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排卵誘発剤について

クロミフェン(商品名:クロミッド)

クエン酸クロミフェン(クロミッド)は1961年にアメリカのメレル社で開発され長年使用されている排卵誘発剤で安全性が確立しているお薬です。
一般的な量は1日25~150mg(0.5~3錠)までです。
一般的にクロミッドは排卵していない人に使われますが、排卵している人でも内服することにより成熟卵が出来やすく約6%妊娠率があがるといわれています。排卵障害のみの患者さんにクロミッドで排卵を誘発した場合、6か月の累計妊娠率は60~75%に達します。
またクロミッドを長く内服していただくと、卵の成長を促すとともに、排卵を抑える働きがあるので、体外受精の際に自然排卵などを抑制するために使用されます。

シクロフェニル(商品名:セキソビット)

クロミッドと同様に排卵誘発剤として使用されます。クロミッドに比べ排卵誘発効果は弱くなりますが、クロミッドとは異なり頸管粘液の減少や内膜が薄くなることがありません。
クロミッドの副作用が強く出る方にはおすすめの薬剤です。
一般的な量は1日400~600mg(4~6錠)までです。

<作用機序>…クロミッド・セキソビット
クロミッド・セキソビットは間脳に働きかけ、内因性エストロゲンと競い合い、受け入れるところと結びついて、GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)を分泌させます。その結果、脳の下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)が分泌され、卵巣を刺激して排卵が誘発されます。

アロマターゼ阻害剤(商品名:フェマーラ、アリミデックスなど)

女性ホルモンの産生をおさえる作用があり、現在は閉経後の乳がんの治療薬として採用されている薬ですが、最近クロミッドが無効な排卵障害の治療薬として婦人科でも使われるようになりました。

<作用機序>
卵巣では男性ホルモンにアロマターゼという酵素が働いて女性ホルモンができてきますが、このアロマターゼの働きを阻害するのがフェマーラです。
フェマーラの内服により、血中のエストロゲンの上昇が抑えられ血中エストロゲンを卵巣が作るように、脳からの刺激が強くなり卵巣が刺激され排卵がおこりやすくなります。

まとめ

排卵誘発剤は種類や量を適正に使用することによって、自然に排卵している方も妊娠率を上げることができます。特に人工授精を受けられる場合、明らかに薬を服用した方が妊娠率が高くなるというデータもでています。また妊娠した場合に胎児に影響して異常を起こすという事実も全くありませんので、安心して服用できます。排卵誘発剤にはその他注射薬もあります。効き目は強いのですが内服に比べ、副作用もでやすくなります。できれば飲み薬でより簡単に安全に妊娠した方が良いですね。
薬の副作用が出現したときは早めにご相談下さい。また、排卵誘発剤のみに関わらず、治療について疑問に思ったことや、不安があればいつでも私たち福田病院のスタッフへ相談してくださいね。